◇◆あじさい◆◇
とっつぁんは、すぐに駆け付けてくれた。


一度も入った事のない家の中を一部屋一部屋、私の名前を叫びながら…。


階段を駆け上がり、真っ暗な部屋の中で私を見つけてくれた。



『風花っっ!』



その声に振り向くと、階段の電気で逆光の中ドアに立つ影は、紛れも無く、とっつぁんだった…。




私は、夕方あった出来事を泣きながら、ゆっくり話した。

母の苦しむ姿を見た事…。
自分の体が動かなかった事…。

怖くて怖くて不安だった胸の内を、とっつぁんは聞いてくれた…。

しっかり、私の震える体を抱えながら…。
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