◇◆あじさい◆◇
私達はバスを途中で降り、沙織のバイト先へ向かった。


『今日2人?珍しいねぇ!祐介はっ??』


『俺らぁ今、ちょっと。』


『えっっ!?
そうゆ〜ことっ!?』


とっつぁんの思わせ振りな言い方に、沙織は目を丸くした。


『ギハハハハハハッ!!
冗談だよぉ〜。私チョコミントねっ!とっつぁんは?』


『あぁ、俺いつものっ!』


『ちょっとぉ〜!
やめてよぉ!いくら仲良しでも、【無きにしもあらず】なんだからねっ!そ〜ゆ〜事はっ!マジかと思っちゃったぁ〜。』


『えぇっ?』


笑って問う私に沙織は言った。


『あんたら、一応男と女でしょ!って言ってんのっ!』



私は、沙織の言った本当の意味を理解できていなかった。


『昨日さっ、こいつのかぁちゃん倒れて、病院運ばれたんだ…。んで今、病院行った帰り。』


とっつぁんは沙織に私達が一緒にいる訳を説明した。

『…そぅ…。
大丈夫なの?おばさん…。』



『うん。詳しい事は聞いてないけど、たぶん疲れだ〜って言ってた…。』


沙織はホッとした顔を見せた。
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