◇◆あじさい◆◇
私はそっと病室を出た…。
とっつぁんは廊下の壁に背中を合わせ、私に満面の笑みをくれた。

帰り道…。

私は自分でも、ホッとしたのか、嬉しかったのか分からない程の気持ちの中で、とっつぁんへの感謝の思いを伝えた。



『ねぇ、とっつぁん?』


『あぁん?』



『昨日は…、嬉しかった。』


『なにがっ…?』


とっつぁんは少し照れて顔を背けた。



『昨日、すぐにぶっ飛んで来てくれた時、本当に嬉しかった。ありがとねっ!』


『あっ、アホかっ!
んなもん当たりめぇ〜だろっ!誰だって電話であんな事言われたら、そ〜すんだろ〜よっ。』


『ぅうん。
とっつぁんで良かった!
あの時…、とっつぁんが良かった。』


『…えっ?』


『行こっ!バス行っちゃう!!』


私は とっつぁんの腕を掴むとバス停まで走った。
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