◇◆あじさい◆◇
父はテーブルの上に出された料理を見つめ、少し目を細めた…。


『…見た目は悪いけどねっ。ってゆ〜かぁ…。味もなんだけど…。』


私はあまりの恥ずかしさに言い訳もできなかった…。

父は黙ってそれを、食べ始めた…。


『…母さんそっくりだ…。』

父は少し笑いながら私に話し出した…。


『…えっ?』



『母さんもな、
料理が大の苦手だった…。結婚してすぐ、出された料理も、こんな風に、ご飯がぐちゃぐちゃで…。』



『…そうなんだ…。』



父は、箸を置き、私に何かを言いたそうだった。
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