記念日


次の日、


亜希の病室へ向かう。


部屋のドアを開けると亜希がこっちを向いて微笑み言った。

「おはようございます。」


おはようと返すと亜希は手にもっている雑誌に目をやった。

俺は側の椅子に座った。


「あ、えっとこれ…」

雑誌をもって言う亜希。


「あぁ。うん、俺。いいよ、気にすんな!」


そう言うとまた笑ってありがとうといった。


やっぱり可愛い。

なんだか照れてしまってそっぽを向いた。


「んと、名前…聞いていいですか?」

亜希が言った。


「俺の名前は霧谷和也。」


「和也さんかぁ〜。よろしくお願いします♪」


ニコニコ笑う亜希。
昨日とは大違い。

まぁ昨日はいきなり抱き締めてしまったから無理もないけど。



「私達…付き合ってるんですよね…。全然覚えてなくて…お母さんやお父さんもきてくれたんだけど全然実感なくって…。」


迷子の子供みたいな顔をして下を向く亜希。


「大丈夫……きっと、思い出せるよ…。」

うまい言葉が見つからない。

「そう…だよね…。ありがとう。アタシ達の事、聞きたいな。」


亜希の顔が少し明るくなる。

「どんな話が聞きたい?」


「そーねぇ、出会いとか…聞きたいかな。」


興味津々に聞いてくる亜希を見てるとなんだかこっちまで笑ってしまう。


「んっとな〜出会いは高校だな、うん。亜希はバレー部で俺はバスケ部でさ、体育館一緒に使ってて俺はもうずっと好きでさ…お前ばっかり見てて、何度かすれつがったり体育館で朝の自主練で2人になったり…ま、朝の自主練は俺が亜希が来てるってしって勝手にあわせたんだけど…」


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