【短編】プロポーズはバスタブで。
 
「・・・・はぁっ!? 何コレっ!!」


けれどヒントとやらは沙織の嘘。

書いていたのは文字じゃなくて、あたしの似顔絵だった。


お世辞にも上手いとは言えないそれは、ブサイクに仕上がったあたしが泣いている・・・・という絵。

ご丁寧にも吹き出しには【エーンエーン…!! 孝明が…!!】と書かれてあって。

その横には、携帯の絵文字なんかでお馴染みの、ハートがギザギザに割れて半分になったマークもちゃっかり付いている。

コレ、あたし・・・・フラれてる?


「ヒントってまさか、孝明はそういうコトを考えてるってこと?」


だからこの前の電話で『旅行で行ったホテルに泊まろう』って?

考えたくないけど、最後は派手に終わらせたい・・・・とか?

もー、頭が働かない。

どうして? 孝明・・・・。


クシャッ。

紙を丸めてポケットに突っ込む。

孝明がそういうつもりなら、あたしはもう考えなくてもいいよね。

なんか、今日は眠れそう・・・・。





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