愛とは何ぞや…
兄と私はたくましかった。誰にもかまわれなくてもその寂しさの中で、与えられた環境の中で無邪気に楽しさも見つけながら成長していた。
昼は兄についてどこまでも行った。近くの山に蝉取り、近くの大学の校内を散策、川でのおたまじゃくし取りなどなど。ありとあらゆる遊びを学んだ。
ある日兄が、夏休みで人気のない大学校内で取ってきたアブラゼミの羽をむしり「これ食えるぞ」と私の前に差し出した。兄は持っていたマッチでアブラゼミをあぶり、それを兄の友達と共に分け食べた。なんの恐れもなく食べた。おやつもろくに与えてもらえなかった私はむしろ喜んで食べた。しかし、その味や食感は思い出せず、貴重なアブラゼミを食したという素晴らしく奇妙な体験の記憶だけが今も残っている。
ある日母親が「いつも寂しい思いをさせてゴメン」と私を連れ一町離れたペットショップへと向かった。そこで対面させられたのが小さな檻の中でうずくまる手のりザルだった。愛らしい丸い目が私を真っすぐに見つめ、時々頭を傾ける姿がなんとも愛らしいそのサルは一瞬のうちで私をとりこにした。私はその檻の前から離れなかった。生まれてきて母と兄にすがることしか知らなかった私が、初めて小さな命を愛おしく感じた瞬間だったように思える。
母はそんな私の姿を見て「のんちゃん気に入ったようだね。その子家に連れて帰ろうか。」と言ってくれた。嬉しかった。子ザルはメスでまだ小さく、母親の両手に乗る程の大きさでまたかなり人なつこく一層私をとりこにさせた。
私は就園前の4才であった。
昼は兄についてどこまでも行った。近くの山に蝉取り、近くの大学の校内を散策、川でのおたまじゃくし取りなどなど。ありとあらゆる遊びを学んだ。
ある日兄が、夏休みで人気のない大学校内で取ってきたアブラゼミの羽をむしり「これ食えるぞ」と私の前に差し出した。兄は持っていたマッチでアブラゼミをあぶり、それを兄の友達と共に分け食べた。なんの恐れもなく食べた。おやつもろくに与えてもらえなかった私はむしろ喜んで食べた。しかし、その味や食感は思い出せず、貴重なアブラゼミを食したという素晴らしく奇妙な体験の記憶だけが今も残っている。
ある日母親が「いつも寂しい思いをさせてゴメン」と私を連れ一町離れたペットショップへと向かった。そこで対面させられたのが小さな檻の中でうずくまる手のりザルだった。愛らしい丸い目が私を真っすぐに見つめ、時々頭を傾ける姿がなんとも愛らしいそのサルは一瞬のうちで私をとりこにした。私はその檻の前から離れなかった。生まれてきて母と兄にすがることしか知らなかった私が、初めて小さな命を愛おしく感じた瞬間だったように思える。
母はそんな私の姿を見て「のんちゃん気に入ったようだね。その子家に連れて帰ろうか。」と言ってくれた。嬉しかった。子ザルはメスでまだ小さく、母親の両手に乗る程の大きさでまたかなり人なつこく一層私をとりこにさせた。
私は就園前の4才であった。