PRINCESS story

「…ほっといてくれ」

「ほっとけない」


妻なのに、一緒に住んでるのに、ほっとけるわけないじゃない……


それに、沙穂さんと約束したから。

私は、あなたの側であなたを支えるの。


それが、今の私に出来ることでしょ?


「俺の気持ちなんて誰にも分からない。
誰にも…」


奏斗、そんな苦しそうな顔をしないで。


私も……


「分かる…」


お母さんの時、そうだったから。

大切な人を失った辛さ、私には痛いほど分かる。



< 172 / 399 >

この作品をシェア

pagetop