PRINCESS story
「琴葉、座りなさい」
「……お父さん?お客様って?」
「いいから、座りなさい」
やっぱり、何か変。
父の様子から不穏な空気を感じざるを得なかった。
私は父の隣に腰を下ろした。
「蓮介も居てくれて構わない」
父に言われ、蓮にぃは黙って少し離れた椅子に座った。
「早速お話させていただいてもよろしいでしょうか?」
重苦しい空気の中、老紳士が口を開く。
「はい…」
父が答える。
「では……琴葉様、初めまして。私は、王室で王子の付き人をしております、中野と申します」
ちょっと待って……
王室…って言った?