それでもおまえらは、俺を合コンに誘うのか?

 受けている寺原も、

「やるなあ剣持君」

 と言葉をかけながらボールを返すようになっている。

 三塁側のベンチに、レガースを抱えて走る愛美が姿を現す。

 ここで突然、稲葉がブロックサインを出す。今ボールを持っている寺原が、和俊に返したボールは、ダイビングだけでは捕れそうもない大暴投となってしまった。

 そのボールに和俊は猛然とダッシュで向かっていき、そのうえで飛んだ。土煙をあげて着地した彼のグラブには、見事に白球が収まっている。

「しっかりしてくださいや、寺原さん。どしたんですか急に?」

「ごめん、汗で手滑っちゃってさ。次から気を付けるよ。あと、俺も一年だからタメ口に呼び捨てでいいから」

 暴投された和俊のツッコミに、寺原は中国弁ではなく東京も含む南関東弁で返したきた。どうやら越境入学してきた学生のようだ。
 無名の公立校に越境入学してくる生徒がいる。この通常有り得ない状況に、背番号1を獲得するための道程に、茨だけではなく、分厚く高い壁が存在しているような予感を抱いた。
< 21 / 50 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop