それでもおまえらは、俺を合コンに誘うのか?
愛美から届けられたレガースを寺原が受け取る。和俊は、レガース装着の間に少しでも彼のことを知ろうとマウンドを降りて話し掛けた。
「同じ一年じゃったんか。出身どこや? 岡山じゃないっちゅうことは確かみとうなけど」
「ん? 東京だよ。っていっても都内の秘境とも言われてる練馬区なんだけどね」
「なんでわざわざこげな無名校に入ってきたんなあ、野球やるなら専玉とか岡工付とかもっと良さ気なとこ、ようけあるじゃろうがぁや」
「そりゃあ俺が聞きたいよ。剣持君こそ君自身が名前出してた専大玉野からわざわざ転校してきたんだろ!?」
妥当な質問である。和俊自身が野球をやるなら専大玉野だと言っているのだから。
「オヤジの勤め先潰れてしもうてのう。わしを専玉に通わし続けられる見込み無ぁなってしもうたんじゃと」
「ごめん……聞いちゃいけなかったね……。俺はね、名門校行くより、設備の充実した無名校に行ったほうが力を出せるかなぁって」
こういった動機で頭から無名校に進むことを選ぶ野球少年も少なくはない。そして、そういう者はたいてい実力に加えて、物事は当然として、自分のことすらも客観視できるほどの冷静さを兼ね備えているのだ。