それでもおまえらは、俺を合コンに誘うのか?
 それで、案の定短気だと判断した和俊は、永富の狙い通りに外の高めにストレートを外してしまった訳だ。



 悔しいが、確かに彼の言う通り、完全に掌の上だった。



 古今東西、策士同士の戦いというのはどちらか片方が徹底的に叩き潰されてしまうもの。

 【策士、策に溺れる】の状況に陥ってしまったのが自分であることに、沸き上がる悔しさを押さえることができなかった。

「勝負あったね」

 稲葉が割って入る。

「気付いたかな、剣持」

 意気消沈の真っ只中にある和俊に、非情とも思えるなぜなぜ活動を開始した。

「配球が王道すぎました……」

「うん、確かに今回の勝負で一番反省すべき点は、そこだろうね。ただ、相手が永富だったからある意味しょうがない」

 どうやら稲葉は、監督として永富という【打者】を相当買っているようだ。

「だいたい組み立てなんてのは、本来寺原の仕事なんだから。なぁ、て・ら・は・ら・く・ん?」

「すいません監督! でも剣持、速いの大好きな永富相手に、速い球しか持ってないって言うんだもん……」

「それをどうにかしてやるのが、キャッチャーの役割だろ! ったく……」

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