ワタシノタイヨウ
窓を開け、タバコに火をつけようとしていた彼に、


『あの‥‥また来てもいいですか?』


私はおそるおそる聞いてみる。

彼の動きが一瞬止まる。
そして、くわえていたタバコを口から離し、


「まだ解らないとこあるだろ。」


上目づかいに私を見てそう言うと


「テストで悪い点取られても困るしな。」


そう言って少し微笑み、再びタバコをくわえ火をつける。


『えっ、はい、頑張ります。』


私はテストでいい点が取れるかどうか少しプレッシャーを感じながら、また教えてもらえるという嬉しさで顔がにやけていた。



(それにしても、先生タバコ好きだなぁ。)


そんな事を思いながら私は、タバコを吸っている彼をじっと見ていると、それに気付いた彼は、


「…内緒だぞ。」


そう言って、タバコを持っている左手を少し上げた。

ばつの悪そうに言う彼を見て、私はあの日も同じような事を言われたなぁと思い、嬉しくなってクスクス笑った。

すると彼は少し照れたように、


「笑うな。」


と言って顔をそむける。
その仕草がなんだかとてもかわいく思えて、私は笑いが止まらなかった。


「いいから早く帰れ。」


そう彼にうながされ、なごり惜しい気持ちを抑え帰る事にする。



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