夏の約束


次の日のクラスではたくさんの友達が悲しんでくれた


そんな中、俺は一人、翔にどう伝えるか悩んでいた


時間が止まってしまえばいいのに、なんてことまで考えた


しかし時は無情で、止まってくれるわけもなく過ぎていった


あっという間に俺はじいちゃんの病室にいた



「せっかく仲良くなった友達と別れるのは辛いよなあ」



退院の手伝いをしていた俺にじいちゃんは唐突にそう言った


図星なことを言われ、何故か恥ずかしくなった俺はじいちゃんの言葉を聞こえなかった振りをした


しかし、じいちゃんはそれを気にせず言葉を続ける



「人生は一期一会、なんて言っても割り切れるもんじゃないしなあ」



じいちゃんの話すときの癖である、のんびりとした包むような口調も今は何故か心に刺さる



「勇希、ここにいていいんか?

一日は短いぞ

んで、一週間しかないぞ?」



そう言いながらじいちゃんは俺が持っていたタオルを取った



「人生一分一秒でも無駄にしちゃいかん

行っといで

ここはもういいから」



俺はこのとき初めてじいちゃんのことを凄いと思った


じいちゃんに感謝しつつ、病室を飛び出した


走ると怒られるので、速足で歩いていく


翔に言わなくちゃいけない


とっても言いづらいけれど、これは言わなくちゃいけない事実だ


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