夏の約束
翔の病室の前に立ち、息を整え、心の準備をした
なんて言うのかも考えてきた
そしてようやく覚悟を決め、ドアをゆっくり開いた
「あれ、勇希
今日は早いんだね」
翔はいつもどおりの笑顔だった
その顔を見た瞬間、俺は考えてきた言葉を忘れ、口に出せなくなった
「き、今日はじいちゃん退院だったから」
「そうなんだ
おめでとう」
俺は昨日座っていた椅子に座った
ふと机を見ると、金米糖は昨日と同じ量のまま、そこに置いてあった
「金米糖、食べなかったのか?」
翔は嬉しそうに笑いながらその袋を手に持った
「勇希と食べようと思って」
そう言いながら、翔は俺に数粒のそれらを差し出した
俺は受け取り、口に含み転がす
「…勇希、どうしたの?」
いきなりの予想してなかった質問に、俺は動揺した
そしてやはり、言おうと思っていた言葉は思い出せない