夏の約束
「そろそろ手術室に入ってください」
言いかけた俺の言葉を遮り、いつの間にか来ていた翔の担当医は翔を促した
翔は俺のことを気にしながらも手術室へ歩く
今言わなくては
今じゃなきゃもう会えなくなってしまう
俺は勢いよく椅子から立ち上がった
「翔!
二十歳、そう二十歳になったときまた会おう!」
翔は驚きながら振り向いた
担当医が俺の大声に顔をしかめたがそんなのは気にしない
「二十歳になった年の今日、ここで待ってる!
あの木の下で待ってる!」
翔はその言葉に笑いながらその部屋に入っていった
「絶対、待ってるから!」
手術室のドアがしまった後、呆然としつつも出口へ向かった
成功するか分からない手術で、未来で待ってると言ったのだ
翔は絶対成功させてくれる
頑張ってくれるはずだ
俺は若干滲んだ目を拭い、病院を後にした
待ちかねていた親に連れられ、翔の手術を祈りながら今まで過ごした町から出た
絶対、戻ってくると誓って