未完成な僕ら
「実都ちゃんだよね?」
「そーだけど…呼び捨てでいいし」
「まじっ?ならうちのことも悠葵って読んでよ!」
「ん。」
そう返事をすると、悠葵はあたしが座っている机の前の席に腰掛けた。
少し茶色っぽい髪をショートにして、男子みたいなツンツン頭にセットしてある。
歩き方とか座り方とか男っぽいけど、それでも顔が整っているから女の子に見える。
「さっきサッカー部の練習見てたよね。サッカー好き?」
再び悠葵が聞いてくる。
「まぁ、嫌いじゃないけど」
と答える。
トー兄の試合を見に行ったりするし、テレビ中継とかも見る。