狙われし王女と秘密の騎士
「待っていたぞ」
重い扉の向こうには玉座にどっしりと座るサルエル国王の姿。
私達が来るのがわかっていたようだ。
その目は虚ろで、無理矢理笑った笑顔は不気味だ。
以前会ったときとは様相も変わり、その変貌ぶりにゾッとする。
サルエル国王は父王を見る。
「エルシール国王。まだ生きていたか」
「あれくらいじゃぁ、死なんよ」
何が可笑しいのか、クククと笑い出す。
そしてその目は私を捕らえた。
ニヤリと笑い、嬉しそうに甘い声を出す。
「ああ、逢いたかったよ。シュカ王女。そんな男みたいな姿になっても相変わらず美しい!」
「ルカはどこ?」
「ルカと言うのか、あの女は。いるよ?」
サルエル国王は立ち上がり、玉座の後ろから人を引っ張りだして床に放り投げる。
「ルカ!」
「……ひめ、さま」