狙われし王女と秘密の騎士


「ぐぅっ……!?」


突然、素早い動きで後ろから腕を捻り上げられ剣を取り上げられたサルエル国王はうめき声を出す。
自由になった私が振り返ると、サルエル国王の後ろにはカイルが立っていた。
途中から姿が見えないと思っていたが、いつの間にかサルエル国王の後ろに回っていたのだ。


「きっ、貴様っ! 何をするかっ!」
「お前に言われたくねぇよ」


カイルは不機嫌そうに呟いた。
そして、サルエル国王を床に押さえつけた。
あまりの手早さに周囲も一瞬唖然となる。


「貴様に一国の国王が斬れるのか!?」


サルエル国王は薄く笑った。
カイルの正体に気が付いていないのだ。
しかし、カイルは剣を取らない。


「お前を斬るのは俺じゃない」


カイルは父王と目を合わせた。
父王は頷き、静かに剣を構える。


「お遊びが過ぎたようだな、サルエル国王」


父王の声にサルエル国王は顔を歪ませる。



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