狙われし王女と秘密の騎士


「しかし」とサルエル国王は呟いた。


「ナリエルがつくとは予想外だった」


そしてわたしを掴む腕に力が入る。


「この城にお前らが来る前に、我がサルエル城がナリエル国に制圧されたと情報が入った。無血開城だそうだよ」


サルエル国王は自嘲気味に笑った。
ナリエル国がサルエル国に圧力をかけてきのだ。
きっとナリエル国王が行ったのだろう。
国王不在のまま、無血開城とは。
それはサルエル国王が見捨てられたということだ。


「私には何もない」


国も抑えられ、サルエル国王を守ろうとする部下も誰ひとり側にはおらず、彼は今まさに孤立無援だった。
そしてサルエル国王自身も状況を理解し、自暴自棄になっている。


「この国と共に堕ちてもいい」


サルエル国王の手に力が入る。
空気が張り詰めた。
緊張が走る。

そして……。

サルエル国王が力を入れた。


その瞬間ーーーー………









< 163 / 201 >

この作品をシェア

pagetop