狙われし王女と秘密の騎士


「よぅ、お頭。お疲れさま」


カイルはニコヤカに手を挙げた。
お頭はカイルに懐いているので満面の笑顔で応える。
自分の国の王女が目の前にいるってのに。
少し呆れるが、私達の正体を知っても態度を変えないお頭は何だかホッとする。
旅をしていた頃の三人のままなのだ。


「お頭、向こうで仲間が呼んでたぜ」
「あ、じゃぁ行ってくらぁ。またな」


お頭は忙しそうに走って行った。
仲間が多く、人望も厚い頭は街の人達から頼りにされている。
ああいう人が国の政に関わってくれると力強い。
先々のお頭の行く末を考えようと思った。


「さて。行くか」
「へ?」


カイルはにっこり微笑んで私を見下ろす。
街の視察は一通り終わった。
あとは城へ戻るだけなのだが。
行くって一体どこへ?




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