狙われし王女と秘密の騎士
それにムッとして軽く睨んだ。しかし私の睨みなどカイルのはどこ吹く風だ。
だから口にだして反抗する。
「何さ。カイル」
「いや?解りやすいなぁと思っただけ」
見透かしたように笑われ腹が立つ。
私がサルエルを憎んでいること知ってるくせに。
それに拗ねた子どものように見られると余計に気持ちの持っていき場所がない。
私がますます口を尖らせていると、店のおばちゃんが料理を運んできた。
美味しそうな料理が並び、少し顔が綻ぶ。我ながら単純である。
「さぁ、たんとお食べ。お腹空いたでしょう?エルシールも大変だもんねぇ」
おばちゃんは訳知り顔で大きく頷いた。
エルシールの話はすでに他国の耳にも入っているようだ。
「おばちゃんも知ってんのかぁ?」
「そりゃぁね。王様もお姫様も牢に入ってるんだろ?なんかうちの国の王様が悪いことしたね」
お頭の問いに眉を下げて申し訳なさそうにおばちゃんが謝る。
おばちゃんが謝ることでは決してないのに。
「おと……エルシール陛下はご無事なんでしょうか!?」
思わずそう聞くとおばちゃんは周りを気にするように目を配り、そっと顔を寄せてきた。