愛なんて…
新学期

〜ツバキside~

ワルガク入学式

荒れ果てた校舎、割れた窓ガラス 体育館から聞こえるのは校長の挨拶でも教師の注意する声でもない・・・

「てめぇ、ヤんのかぁ?殺すぞー」

式が始まって30分、怒鳴り声に殴り合いの音、女子の悲鳴・・・この30分で何度目のケンカだろう・・・



こんな光景を目の当たりにしても驚きも怖がりもしない私は・・・壊れてる



小さな背に小学生に間違えられるほどの童顔、暗めの茶髪に薄めの化粧・・・私【タキザワ ツバキ】は不良や、暴走族とは無縁な容姿だと思う

ワルガクに入ったのも入りたかったわけでもなく・・・ココしかなかった

その原因は暴走族【白虎】の総長をしてる兄のせい・・・西中時代からヤンチャで名前を広めたコウ兄は不良として有名だった・・・警察沙汰になっては両親は呼び出され・・・



私が西中に入った時には【タキザワ コタロウの妹】というレッテルを貼られ教師やクラスメイトからは冷たい視線・・・どれだけいい成績でも誰にも褒められることなく・・・コウ兄の暴走が原因で家庭は崩壊

父は愛人の元へ・・・母は出ていたったきり。


それでもコウ兄を嫌いにはなれず・・・冷たい大人たちから逃げるように【白虎】でコウ兄やタクマに守られてきた・・・



タクマが居なくなった日から2年・・・内申点の悪さから入れた高校はワルガクのみ・・・仲間以外にひらけなくなった心も・・・恋をすることも出来なくなったのも

すべて私が臆病なだけ・・・コウ兄や仲間に守られてタクマが死んだあの日から逃げてばかりの汚い自分・・・弱虫な私・・・













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