ますかれーど
仮面と蒼銀の十五夜




ほんとうはね?


お父さんも

お母さんも


大好きだった。



かっこいいお父さんと綺麗なお母さん。

自慢だった。

大好きだったの。




ーーでもーーー‥




“あの日”から、

私はあの人たちを

好きでいちゃいけなくなった。




私はすごくすごく難産だったんだって。


母体か私かを選べって言われて、お父さんとお母さんは、迷わず私を選んだって聞いた。





「あの時、母体を優先していれば、2人も亡くさずに済んだのにねぇ」






そう。

私を選んだが為に
お母さんは弱り、

そして‥

あの子たちは産まれて来なかった。



私の所為。




泣いて 泣いて
泣いて 泣いて

自分を恨んだ。


でも、“死”なんて選べなかった。



だからせめて、


迷惑かけないように
心配かけないように


身体の“死”の代わりに

ココロの“死”を選んだの。



いつもあの人たちの前では、笑顔を貼った。

良い子の仮面を被った。





それで良いんだと思ってた。


それで。




それでーー‥







仮面と蒼銀の十五夜





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