拘束お姫様 *番外編開始





「王子様に相応しいのは、私です」

「あら、相応しいのはあなたではなく、私ですわ」


クロードの周りを覆い尽くしている貴族の者たちが、口々にそんなことを言いはじめる。


「……滑稽だな」

クスクスと笑いながら、王子が呟いた。

いつもと口調の違う王子に、周りの貴族たちは軽く首を傾げている。

「僕が君たちの中から誰かを選ぶなど、やはりあり得ない」


その冷たい微笑みに、彼女たちは怯んだ。
そしてクロードは、来た道を戻って行き、一段二段と、階段を上って行く。


「ま、待って下さい、王子様!!」

誰かは分からない。
けれど誰か一人の者が、叫んだ。


「所詮奴隷など、王子様のことを満足にさせるなんて不可能。けれど私ならば、あなた様を満足させてあげることが、きっと出来るはずですわ!!」


綺麗な音楽が途切れてしまったそのホールに、貴族の声はよく響いた。


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