拘束お姫様 *番外編開始
*
「王子様に相応しいのは、私です」
「あら、相応しいのはあなたではなく、私ですわ」
クロードの周りを覆い尽くしている貴族の者たちが、口々にそんなことを言いはじめる。
「……滑稽だな」
クスクスと笑いながら、王子が呟いた。
いつもと口調の違う王子に、周りの貴族たちは軽く首を傾げている。
「僕が君たちの中から誰かを選ぶなど、やはりあり得ない」
その冷たい微笑みに、彼女たちは怯んだ。
そしてクロードは、来た道を戻って行き、一段二段と、階段を上って行く。
「ま、待って下さい、王子様!!」
誰かは分からない。
けれど誰か一人の者が、叫んだ。
「所詮奴隷など、王子様のことを満足にさせるなんて不可能。けれど私ならば、あなた様を満足させてあげることが、きっと出来るはずですわ!!」
綺麗な音楽が途切れてしまったそのホールに、貴族の声はよく響いた。