拘束お姫様 *番外編開始



「僕を満足させるだって?」


貴族の言葉を、クロードは鼻先であしらった。


「君たちが僕のことを満足させるなんて、一生無理さ。僕の心を満たすことが出来るのは、シンデレラだけだ」


「け、けれど! 奴隷に飽きたのでは……!!」

貴族の者たちが、ざわつきはじめる。

「それは君たち貴族の間での勝手な噂にすぎない」

冷たい瞳を向ければ、貴族たちは黙り込んだ。
しん、と再び静まり返る。


「明夜の舞踏会は予定通り行おう。けれど、そこに僕はいない」

こんな舞踏会、僕にとっては無意味なのだから。 と彼は続けた。

「明夜は貴族の男も参加させる。 富に欲深い君たちは、その中から、自分に相応しい財力の者を見つけることだね」


冷ややかな微笑みで皮肉を言うクロードが醸し出す雰囲気は、とても冷たく、恐ろしいものだった。





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