迷姫−戦国時代
四曲目が終わると狛津は手を止め一息つく。観客は彼の一つの動作もただずっと黙視していた







「さていよいよ最後の一曲になりました。この曲は遥か昔から我が国の神に伝えられる決して世に出る事はない不完全な歌を・・・今宵だけの特別な物でございます。名は”宴”」




刹那
美羽は先程の違和感がより一層深まっていた




そしてもう一つ・・・




−−−「共に歌え我が同志達。
共に楽しい時を過ごそうではないか。

さあ歌え、奏で、舞え、四季の廻りを。

他の国々から参られた者達が今此処に集まり共に春をめでましょう」

−−−





また”あの声”が聞こえる・・・



だが次には美羽が聞こえたあの声と同じ言葉を狛津は歌ったのであった。しかし次には狛津は歌うのを止め琵琶を弾き始めたのだった



だがそれでも美羽にはあの声が歌を歌い始めた





−−−「悲しみ、苦しみ、怖れも何もかもこの桜花の前で浄化されるでしょう。

東に昇り西に落ちる太陽。それを眺める南北。例え見る角度は違えど、我らはその光により得られる自然の恵み、生命の誕生、全てにおいて感謝の意を表してます。

そして我らを見守って下さる貴方様に捧げましょう」




「私が四季の美しさを表す舞を捧げます」


−−−




その言葉を耳にした瞬間、身体中から何かが駆け巡っていく







あぁ懐かしい









何故だかそう思わずにはいられなかったのであった。そして美羽は次にとんでもない事を口にしたのであった










「私が四季の美しさを表す舞を捧げます」




演奏の中、美羽はハッキリとそう告げたのであった






隣にいた朝波と宮火もだが周囲の者まで美羽に注目したのであった。だが狛津だけは演奏を止めず弾き続けていたのだが・・・






「では琵琶の音色を貴方様に捧げます」





< 190 / 313 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop