迷姫−戦国時代
狛津は美羽達と別れ、来た道を辿っていた



・・・カサリ


歩きながら不意にも狛津は着物の裾から丁寧に折り畳まれてある文を取り出した




−−−−
「硲師匠、これは何だ?」

「それは大分昔に預かっていたお主当ての文じゃ。明日にでも読めばよい」

−−−−

祭は終わり、休んでいた所に硲師匠が訪れ半ば強引に渡されたのがこの文であった




名宛には 貴方様へ と書かれており、狛津はその書に見覚えがあった




狛津はなんの拍子もなく文を広げ文字を綴っていく









貴方様へ

初めに、約束を守れず申し訳ございません

私は貴方様と、貴方様が弾かれる琵琶の音色が好きでございました。なので第二の六凪の名を持つのではなく、貴方様として後世に名を残して下さいませ



私は己の行動に後悔などありません。ただ・・・貴方様が一人ではないと、気づいて欲しいのです

どうかお願いします
私をお忘れ下さい

私を忘れ、生涯まで貴方様をお慕いしてくださる方をお探し下さいませ



どうか許されるならば

ただただ、



貴方様をお慕いしとうございました







「・・・っ」

狛津は文から顔を背ければ地面に幾つかの斑点が浮き出し、狼狽した



「馬鹿野郎・・・俺はな・・・」

お前が間者だと初めから気づいてた

俺だってお前を愛していた

そんな事よりもお前は・・・

「・・・っ文でも、俺の事ばかり気にして、どうするんだよ。何で、もっと自分を大切にしないんだよ・・!」


もう一度、綺麗に綴られているあいつの文を眺め、呟いた



「・・・っ「あんちゃーん!」


不意に前方から手を振りこちらに向かってくる少年が見えた



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