迷姫−戦国時代
祭は終わりをつげ、新たな風が吹き出す
「さ、二人とも行こうか」
「ああ」
「ええ」
荷造りを終えた三人は町の外れまで歩いて来ていた
「由利・・・良かったのか?」
少し歩みが早い美羽に宮火は何時も変わらぬ無表情で問い掛けてきた
「置き手紙を書いてますし。それと事前にお世話になったお礼もしましたわ。だから大丈「何が?」
思わぬ宮火の言葉に美羽は目を見開いた。まるで的をえているように
「由利は良くても、相手が良くないかもしれないぞ」
視線を美羽から外し来た道を見つめている先には
「ーーーったく、世話になった俺に何も言わないのかよ。それにっ」
息切れをしこちらに向かってきた狛津の姿に宮火は由利の肩を押し一歩前に出させれば、狛津と向き合う様になった
「俺はまだ恩を返してない」
「・・・私は・・・っ」
当主である男とはまた違う鈍色のはっきりした瞳が美羽を真っ直ぐ見つめ、彼女を逃がさなかった
「俺が琵琶ともう一度向き合えたのは他でもない、お前のお陰だ。
それに中途半端な別れは御免だ。由利って・・・誠の名じゃないんだろ?
最後の別れだし、教えてくれないか?
それに、忘れたくないからな」
蔓延の笑みで笑っている狛津の姿は以前とは打って変わっていた。影のない、真っ直ぐな笑顔を
「・・・ます。
・・・私の名は、美羽 と申します」
「俺を此処まで連れ戻してくれて、有り難うな 美羽。
有り難う」
その言葉と共に何処からか琵琶の音色が聞こえ何時までも耳に残っている