迷姫−戦国時代
湯気が風呂場の中に充満し、視野を悪くしていた
しかし光彦にとってそれは好機である。彼は静かに扉に手を掛けたのであった
白い湯気が広がるなか、そこには一人の後ろ姿があった
浬張の赤とは打って替わった髪の色素に、高揚と共に彼の心はどす黒い何かが徐々に押し寄せていくのが分かった
気配を完全に消せば一歩、また一歩と美羽に近づく。そして彼の手が求める先には・・・・。結い上げ露わになった細く白い首筋へと・・・・
「ーーーーーーー誰、はぁっ」
光彦は美羽が気配を感づくや否や直ぐ様白い首筋を掴んだのだった
美羽は反射的に首を絞める手をほどこうと掴み爪を立てたりしたがそれはびくともしなかった
「此処で騒がれたら困る」
低くどすの利いた声で話す光彦は美羽に触れた瞬間にどす黒い感情が己の器を溢れでそうな勢いだった
しかし美羽は力を振り絞り後ろにいる相手の姿を確認するべく首を動かしたのであった
刹那
美羽と光彦の瞳が合わさった瞬間に二人は反射的に手を退けたのだった
暫く己の状況に早く気がついた光彦は何かを振り切るように次には驚愕へと変化したのであった
「まさかお前・・・・・・・・・ああ・・・そう、か」
光彦は確信したように美羽の顔を見るや否や次への行動は早かった
美羽の顎に手を添え先程の女中にしたように美羽の瞳を真っ直ぐ見つめたまま甘味のある声音で
「浬張へようこそ、千紫のお姫様」
気がつけば心の内のどす黒さは何処へやら
そこに残ったものはきっと・・・
しかし光彦にとってそれは好機である。彼は静かに扉に手を掛けたのであった
白い湯気が広がるなか、そこには一人の後ろ姿があった
浬張の赤とは打って替わった髪の色素に、高揚と共に彼の心はどす黒い何かが徐々に押し寄せていくのが分かった
気配を完全に消せば一歩、また一歩と美羽に近づく。そして彼の手が求める先には・・・・。結い上げ露わになった細く白い首筋へと・・・・
「ーーーーーーー誰、はぁっ」
光彦は美羽が気配を感づくや否や直ぐ様白い首筋を掴んだのだった
美羽は反射的に首を絞める手をほどこうと掴み爪を立てたりしたがそれはびくともしなかった
「此処で騒がれたら困る」
低くどすの利いた声で話す光彦は美羽に触れた瞬間にどす黒い感情が己の器を溢れでそうな勢いだった
しかし美羽は力を振り絞り後ろにいる相手の姿を確認するべく首を動かしたのであった
刹那
美羽と光彦の瞳が合わさった瞬間に二人は反射的に手を退けたのだった
暫く己の状況に早く気がついた光彦は何かを振り切るように次には驚愕へと変化したのであった
「まさかお前・・・・・・・・・ああ・・・そう、か」
光彦は確信したように美羽の顔を見るや否や次への行動は早かった
美羽の顎に手を添え先程の女中にしたように美羽の瞳を真っ直ぐ見つめたまま甘味のある声音で
「浬張へようこそ、千紫のお姫様」
気がつけば心の内のどす黒さは何処へやら
そこに残ったものはきっと・・・