≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
オレがそう叫びながら2人の所へたどり着くと、先生はこう言った。



「じゃぁ、奥村くんは絵里香ちゃんをお願い!私は、あの人を連れてくるわ。」



日村先生は、絵里香ちゃんをオレに渡すと、奥に立っている男の元へ走った。

オレは泣きそうになりながら、先生の背中に叫んだ。



「先生!!間に合いませんよっっ!!」



先生は、オレの言葉などお構いなしに男の所へ走って行った。


オレはとりあえず、絵里香ちゃんをおんぶし、エレベーターへ走った。


エレベーターの中に入り、B2のボタンを押し、オレだけエレベーターの外へ出た。


そのまま待てば、エレベーターが絵里香ちゃんを地下駐車場に連れて行ってくれる。


オレは、一つの作業を終えると、次に日村先生と男の元へ走った。


入り口付近ではオレが中に入ったあと、はげしく燃え盛りだした炎に消防隊が必死に格闘しているのがわかったが、その様子は炎と熱気と煙ではっきりと見えなかった。


裏口のブレーカーを上げてくれた誰かを心の中で待ちながらも、オレは必死に今やれることを行なった。


『早く…誰か助けに来て…』


そう思いながら先生を見ると、男の背中を押しながら、なんとか歩かせていた。



「佐々木さんっ!ほら、歩いて!!」



先生のそんな言葉も届いていないかのように、佐々木という男は魂が抜けたように自分で身体を動かそうとしなかった。


オレは2人の元へたどり着いた。


急いで佐々木という若い男を背負い、なんとかエレベーターへと走った。


エレベーターを目指した時、オレは信じられない光景を目の当たりにした。


地下へ降ろしたはずの絵里香ちゃんが、エレベーターの外に出ていたのだ。



「・・・なんで?!」



オレより先に日村先生が、絵里香ちゃんの元へ走り出していた。



「絵里香ちゃんっ!早く中へ入って!!」



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