狂愛ゴング

「でも、おごられる理由なんてないし——……」


そう、言った。

その言葉の途中で……自分の頭にぼとんという衝撃と、次にひやりとした冷たさを感じて、言葉を失う。

……え? な、なに……?

意味がわからず新庄を見つめると、目の前の彼は相変わらずの極上スマイルを顔に貼り付けていた。

にっこりとそれはそれは楽しそうに。嬉しそうに。


「おごる理由? そんなの、こうするからに決まってるじゃん。だから、それはクリーニング代にでも回せば?」


つうっと頭からなにかが垂れてくるのを感じて、ふと手を当てる。

薄い黄緑みたいな青色みたいな色した、どろりと、冷たい、なにか。
そう、チョコミントのような、色。


「——……な!?」


新庄は自分の両手をひらひらとさせて一歩二歩と私から遠ざかっていく。

あいつの持っていたはずのアイスクリームは……今……。
私の頭の上!?


「なに……なにすんのよ!!」


こんな場所で、頭からアイスクリームなんて……どうやって帰れっていうの!? べっとべとじゃない!!


「覚えといて?」


なにがだよ!

鞄の中からティッシュを探そうとする私に少し離れた場所から新庄が楽しそうな声で私に声をかける。

じろっと睨み付けると、上から見下ろすような憎たらしい笑顔で私を見た。

だいっきらいな顔だ。


「俺、好きでもない奴に調子乗られるの……だいっきらい、なんだよねー」


……………はあ!?
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