狂愛ゴング
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バァン! と勢いよくクラスの扉を開けた。
——といっても自分のクラスの扉ではない。
扉のガラスがぴきっと音を鳴らし、ヒビが入ったけれどそんなものどうでもいい。
「どーいう……つもり……?」
教室に入るなり、窓際にいた新庄を睨み付けながら言葉を発した。
怒りで声が震えてしまう。
身体だってもうプルプルしてる。
奥歯も噛みすぎて、すり減っている気がする。
私を見て、それはそれはにやにやと笑う新庄の顔が朝から疳に障る。そもそも今日は朝から機嫌が悪かったのに、もう限界値に達している。
「制服、大丈夫だったんだ。残念。制服汚してクリーニング間に合わなくて今日休めばよかったのに。目障りだから」
……目障りはお前だよ!
「あんたがあんなことしたせいで……私がどんなけ恥ずかしい思いしてバス乗って帰ったと思ってんの……!? 子どもに指さされるわ、犬は寄ってくるわ、ハトが頭向かってやってくるわ……身体からチョコレートのニオイが消えないわ」
「まーじで。ゴミみたいな奴だな」
クソが!
楽しくねえよ! なに一つ面白くないし殺意しか涌かねえよ! お前がゴミだよ!
——いやいやいや、そんなことよりも……。
ぐっと殴りたい気持ちを抑えて新庄の傍までツカツカと歩み寄る。
「ちょっとよんなよ。臭い」
「……あんたの腐った性格の方が臭いわよ」
ぎろっと睨みながら突き進む私の言葉に、新庄は少し不機嫌そうな顔をして私を見る。
新庄の目の前で脚を止めて、ぐいっと胸ぐらを掴んで……すうっと自分の体を反らし……。
一点めがけて体全体で前に向かって体重を掛けた。
……——ゴン!
と鈍い音が響き渡る。
教室中は……それはそれは静かで、私の頭から伝わる痛みだけが体中でじんじんと響いた。