あたしの仮旦那は兄貴の親友
『残念ですが…今回は…』

産婦人科の医師が申し訳なさそうに
あたしたちに告げた

やっぱり駄目だった

あいつがあたしの肩を抱きながら
病院を後にする

車に乗り込んで
シートベルトをつけてるあいつの横顔を見て

「離婚…してもいいよ」

とあたしは呟いた

あいつはぎゅっと唇を噛み締めると
何も聞いていないかのように

返事もせずに
車を発進させた

「ねえ…離婚…」

「しない」

「どうして?」

「しないよ
僕は別れない」

どうして…
あたしは子供も流してしまったんだぞ?

なんで
離婚しないってはっきりと
言いきってしまうんだ

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