パステルクレヨン


一瞬、どう返答していいのか本気で分からなかった。



…どうして

…どうして


…どうして?



「だって玉置、…鳴海さんと付き合ってたじゃん。好きだったんでしょ」


震えそうになる声を必死に噛み殺して


泣きそうになる目を必死に反らした。



「アレはなぁ、恋だの愛だの深いモンじゃ、ないんだよな。直感…、っていうか」


玉置の声が聞こえない


玉置の目が見れない


玉置が分からない


「恋にも愛にもなる前の直感だった。だから、ダメだったんだよな。何も知らない内に付き合って、気持ちは冷めてくだけだった」



玉置が、分からない


あたし今まで、どうやって話していたの…


玉置と、どうすれば『自然』に話せるの?



「昨日のも、『直感』だったんだ……」




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