パステルクレヨン
「入試ィィ!?」
「しっ早瀬。 声が大きい」
玉置にそう言われ、あたしは慌てて口をおさえる。
「聞いてないよ、明日入試だなんて」
いつもの図書館の帰り、玉置から思わぬことを聞いてしまった。
「だって、言ってねぇもん。 早瀬、ヒカルの応援しなくていいのか?」
「へ? なんでヒカルくん?」
玉置、何か勘違いしてない?
「だって早瀬、ヒカルと付き合ってんじゃないの?」
なっ……
「付き合ってなんかないよっ!」
あたしは思わず大きな声を出してしまった。
だって……玉置に言われるのが、一番辛いんだってば。
玉置を想ってた気持ちが、そんなに簡単に変わるなんて、玉置に思ってほしくない。
でも、あたしとヒカルくんの間に何もなくて玉置がそんなこと思うとは思えない。
あたしが玉置の前で何かしたんだ、きっと。
誤解を招くような何かを。
「何で…そう思ったの?」