パステルクレヨン



次の瞬間、その『違和感』が何か分かった。


あぁ、殻だ。



気付かない内に、あたしも玉置の殻の外になっちゃったんだなぁ…



「いいよ、あたしには、本気で話してよ」


じゃなきゃ、悲しいよ。



玉置が何のことか分からなそうに首を傾げる。



「ダメで元々だ、って。 チャンスが増えるだけだと思って本気じゃない、って。


そういう建前があることも分かるけど、そう思ってる気持ちのどこか奥の方では


負けず嫌いな玉置とか、強い玉置がいることも、あたしは知ってるよ」



指が痛いと思ったら、拳を強く握りしめすぎて指が赤くなっていた。



「玉置が、昔言ってたの。 気持ちで負けたら終わりだって。


玉置は強いから、負けることが誰より怖いかもしれないけど、気持ちでは、1番になって」




―――そしたら、1番の笑顔を、あたしにちょうだい。





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