ただ、大好きでした。



ガヤガヤと、騒ぎ立てる店内。





食べ放題、2時間1990円


肉以外はもちろん、セルフサービスなわけで。




自分がついているテーブルを見て、すっかり無くなってしまった野菜を取りにいこうと、イスを、恐々と引いて、立ち上がる。







─…どくん、どくん、と。



神経だけで追っていた彼が、体を反転させればホンモノに、なるのだと。




無性に高揚して、一歩、体を持ち上げたけれど




蒼井の席だけ、裳抜けの殻となっていた。






< 207 / 218 >

この作品をシェア

pagetop