銭コ乗せ
「お前にぃぃ…判断されるぅぅ…筋合いはぁぁ…」

―ガッ―

懐に入れかけた右腕を僕は、うかつにも掴まれてしまった。

「物騒なことはやめようぜ。わかったら、そのまま動くんじゃねぇぞ。」

そう言うと、男はあろうことか僕のこめかみに、自前の銃を突き付けやがった。

コイツは、バカだ。

無意味なことでも容易にしやがる。僕を殺すということが、どんなにヤバいことかなんてわかっちゃいない。

逆らえば確実に、

打ってきやがる。

「こいつは預かっておくぜ。あんたみたいのがコイツを持つのが一番危ない。」

バカは僕の拳銃をまさぐり取り出すと、得意気な顔をしてそれを振ってみせた。

「それで、だ。これまでの料金を払ってもらおうか。」

この期に及んで、バカは金をせびるつもりらしい。

「330万なんて金は、今持ち合わせていない。」

「ん?あんた何を言ってるんだ?」

「依頼料300万に一日10万で330。あいにくそんな金は今、持ち合わせていないって言ってるんだよ。」

僕は相手を刺激しすぎないよう、イラだちを抑えるのに必死だった。
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