銭コ乗せ
「あのさ、あんた…」

味噌汁とご飯を、交互にもぐつかせながら、僕は兼ねてからの疑問をババアにぶつけてみることにした。

「こんなことして…何の意味があるんだ?」

そうだ。その通りだ。ババアにしてみたら、見ず知らずの僕に、ここまでしてあげる筋合いはない。
見返りも、期待出来ない。いつ殺されるかもわからないあげく、アジトにも家にも戻れない僕には、残念ながら財産などない。あるのはかわいらしいアップリケのついた布袋一つだけだ。

このババアがここまでする理由はなんなのか。

その意味はなんなのか。

僕はさっきから気になって仕方がなかった。

ババアはまた、目を丸くして、しばらく硬直していた。

そして、僕は次のババアが出した発言に驚愕した。

「バカだねぇ。意味なんてあるわけないじゃないか。」

空いた食器を片付けていたババアが近くまで来ると、僕の肩をバシバシ叩いて笑い飛ばした。

僕はただただ、驚愕していた。
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