銭コ乗せ
「それで、だ。」


すっかりキレイになったテーブルを挟んで、僕と対面してババアは座ると、意味ありげにそう言って会話を切り出してきた。

「あんたに今日仕事を紹介してやろうと思うんだが。どうだい?やらないかい?」

すぐさま僕は噛みつく。

「だから、仕事なんて…」


「なーに。朝から晩まで人様が汗水垂らして働けば、中々これが稼げるもんさね。それこそ…」






「一万くらいはね。」

「な…」

僕が口を挟むヒマも与えず、ババアは続けた。

「あんた、ちょっとその袋、いいかい?」

ババアは僕の布袋を手にとると、それをおもむろに逆さにし、目一杯その口を開けた。



すると、





―チャリンチャリンチャリーン―





中から、



小銭が出てきたのだ。


僕はその事実に驚きを隠せないでいたが、ババアは平然とテーブルの小銭を数え始めた。

そして、ニヤリと笑うと、


「あんたに仕事を紹介してやろう。紹介料は、312円だ。わかったね?」

そう言ってテーブルの縁を握り締めた。


僕は呆然と、静かに、

頷くことしか出来なかった。
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