胡蝶蘭
ヒトバン トメテ
アパートに着く頃には、誓耶の身体は冷え切っていた。
偉槻も震えていたが、それも誓耶の比ではなかった。
かじかんだ手で鍵を開け、電気をつける。
偉槻は凍える誓耶を先に中に入れ、自分もちゃっちゃと中に入る。
「上がれ。」
ゆっくりと進むを追い抜かし、ヒーターをつける。
ボッと音を立てて、火がつく。
「あ~、寒。」
手をこすり合わせる。
「おい、こっち来い。
もうすぐ温まるから。」
身体を折り曲げるようにして、誓耶が歩いてくる。
服の裾から見える脚が白く変色している。
……案外細い。
今までしっかり見たことがなかったが、結構綺麗な脚してる。
なんだ、こいつもしっかり女だな。
「座れ。」
肩に手を置くと、簡単に誓耶は膝を折る。
「風呂は__って、その恰好は入ってきたんだな。」
うん、と誓耶は首を縦に振る。