胡蝶蘭
偉槻はエアコンの暖房もつける。



早く暖まってほしい。



「さぁ~ぶ~。」



偉槻はエアコンのリモコンを置くと、誓耶の横に座った。



「で?
そろそろ俺んとこに来た理由、訊いていいか?」



そう言うと、誓耶は目に見えて身体を強張らせた。



「どうせ、従兄だろ?」



真剣に聞いてやるから、話してみろよ。



誓耶はゆっくり頷いた。



「軽蔑しないで、聞いて?」


「もちろん。」



俺がそんな薄情な奴に見えるのかよ。



お前の目には、俺はそんな風に映ってるのかよ。



「何から話そう…。」



誓耶は立てた膝に頬をつける。



そのまま少し考えて、偉槻を見上げた。



「偉槻には、全部話す。
話したい。
受け入れて?」


「なんだよその重い言い回し。
全部は背負えないけど、話してみろ。」



聞くと言っておいて、無責任だが、ここで恰好をつけてうんと言うのもそれこそ無責任だ。



それでも、俺に助けられることなら助ける。



さあ、話してみろ。




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