胡蝶蘭
今頃、偉槻どうしてるんだろう。



怒ってる?



悲しんでる?



もう、この関係も終わりかな。



そう考えると、胸が締め付けられた。



茉理子、あんたはなんなの?



あたしを掻き回すだけ掻き回して、去って行って。



今頃、偉槻と一緒にいたりすんのか?



偉槻と寝たことがある、と言ったときの顔が忘れられない。



目を閉じると、瞼の裏に彼女の顔が浮かんできて、誓耶は目を見開いた。



仰向けに寝転がり、天井を見上げる。



と、耳元に放ってあったケータイが震えた。



何気なく取って見ると、偉槻からメール。



誓耶は悩んだのち、ケータイを開いた。



“会って話がしたい。”



絵文字なしの、殺風景なメール。



そこに確かに偉槻の存在を感じ、泣きそうになった。



会いたい。



あたしも、会いたい。



でも、どんな顔して会えばいいかわかんない。



きっと、情けない自分を曝け出してしまう。



怖かった。



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