胡蝶蘭
“会えない。
メールで聞く。”



誓耶のほうも絵文字なしで送り返す。



偉槻の返事は速攻だった。



“俺は会ってと言ったはずだ。
都合のいい日に合わせるから、メールしろ。”



…なんだよ。



会わなくても、別れるって話は出来るだろ。



あたしは、会って話せる精神状態じゃないんだ。



返信をせずに、画面を眺めていると、再び受信。



“俺はお前が会ってくれるまで諦めない。”



…なんだよ。



誓耶はやや乱暴にケータイを放り投げた。



鈍い音、ベッドに軽い衝撃。



誓耶は頭の中の偉槻をかき消すように、勢いよくベッドに突っ伏した。



馬鹿、馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!



偉槻は勝手だ。



あたしを傷つけといて、さらに出てこいだなんて。



嫌い!



…嘘。



好きだ。



こんなにも好きだよ、偉槻…。















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