胡蝶蘭

ココロ ノ ウチ ヲ








冷え込む。



偉槻は手をこすり合わせた。



息を吹きかけても、指先の感覚は戻ってこない。



…早く出てこい、誓耶。



校門から出ていく生徒が、不審そうに偉槻を眺めていく。



その視線から身を守るように身を縮め、偉槻は誓耶が出てくるのを待った。



学校に来てるんだろうな。



寒さに身を震わせながら、偉槻は校舎を眺めた。



…案外いいとこ通ってやがる。



あいつ、頭いいんだな。



地元ではそこそこ名の知れた進学校前にいるのは、偉槻にとって易しいことではない。



…俺の学校とはえらい差だ。



なんだか嫌になって、偉槻は再び足元に視線を落とした。



…というか、だいたいどうして茉理子は誓耶の学校を知っていたんだろう。



それ以前に、どうして誓耶の存在を知っている?



まさか、あいつがバイト先に来たときに見られてたのか?



それなら納得できる。



あの時、誓耶はかなり目立っていたはずだ。



でもどうして学校まで…。



不気味だ。



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