胡蝶蘭
慎吾は黙って、シューティングゲームを指さした。



「なんだよ、前もやったことあるじゃんか。」


「違う違う。
新しいシリーズなの。」


「どれもあんま変わんないじゃん。」



文句言うな、と慎吾は誓耶を引っ張った。



有無を言わさず台の前に立たされ、銃を握らされる。



「ほれ、開始。」


「はいはい。」



なんだかんだ言いつつも、やっぱり誓耶はいつものように構える。



今までのものよりも比較的グロテスクな場面が少なかった。



違いはそれくらいだ。



慎吾は隣で「うっ」とか「うげっ」とか、ことあるごとに声を漏らす。



最初こそ少し静かに出来ないのかと思っていた誓耶だったが、最後には一緒になって叫んでいた。



…これもいつものパターン。



「ったく、ゾンビってなんでゾンビ!?
一回撃ったんだから生き返るなよ!」


「その通り!
可愛げなくなるっつの。」



ゾンビの生態系全否定。



鼻息も荒く銃を置き、慎吾はパンッと手を打った。



「次、どうする?」


「知んないよ。
あたしはもういいけど。」


「え~、せっかく来たのにぃ。」


「金使うだろ。」



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