胡蝶蘭
イライラと舌打ちしながら黙々と働く偉槻を観察していた慎吾も、ようやく動き出した。



それを横目に確認し、偉槻はため息をつく。



まったく、あいつは。



馬鹿だろ。



だいたい、キスしたかなんて訊いてどうするんだ。



したと言えばまたうるさいだろうし、しないと言えば急かすに違いない。



どっちにしろ、うるさいことに変わりはないのだ。



どさくさに紛れて答えずに済んだのがありがたい点か。



偉槻は重い荷物を担ぎ上げ、トラックに積んだ。



今のが最後の積荷だ。



運転手に挨拶して見送る。



ぐぐっと伸びをすると骨がバキバキと鳴った。



…疲れたな。



まだ一日は始まったばかりだ。



久々の早朝労働で、一日もつのか心配になってきた偉槻だった。

















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