胡蝶蘭
誓耶はちゃっかりとコーラのビンを引っ掴んだ。



「今なら空いてるから、座敷貸してやるよ。
ここで待ってな。」



店長は気前よく言い、角の座敷に誓耶を放り込んだ。



「ありがと。」


「あとでなんか食いもん持ってきてやるからな。」



慌てて断ろうとしたが、それを読んでいる店長はピシャッと障子を閉めてしまった。



「いいって…。」



残された誓耶は、障子に向かってポツリとつぶやく。



さて。



6畳ほどの贅沢な座敷を見渡す。



「広いなぁ…。」



何気にこの店おっきいんだよなぁ。



誓耶は人目がないのをいいことにごろんと身体を横たえた。



座布団がふかふかで気持ちいい。



「ふわぁ~。」



眠くなってきた。



外はわいわいと声がするのに、瞼が下がってくる。



やばいやばい…。



誓耶は慌てて跳ね起きた。



偉槻がせっかく夕飯に誘ってくれたのに。



滅多にないこんな機会を逃したくはない。



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