胡蝶蘭
「とにかく、イツキはあたしの。」


「偉槻は了承してんのかよ。」



してたらあたしの存在はなんなんだ。



「好きって、言われたことあんの?」



茉理子は一瞬怯んだが、髪を掻き上げて言った。



「言われたことはないわ。
偉槻ってそういう人じゃない。」



思わず誓耶は吹き出した。



偉槻がどういう人だって!?



遠慮なく笑い転げる誓耶を、茉理子はまたヒステリックに怒鳴りつけた。



「なに笑ってんのよ!」



だって、だってだってだって!



知ったような顔をしてふざけたことをぬかすから。



「要するに、愛してるって言われたことないんだ?
ってことは、偉槻はあんたのこと好きじゃないかもね?
よーく考えてみたら態度が冷たいなんてことない?」


「あたしにはわかってるの。
偉槻がどんだけ冷たくっても、あたしを気にしてるって。」


「馬鹿だろお前。」



はんっと鼻で笑った。



大丈夫かよ。



偉槻、わかったよ。



茉理子は確かにあんたに付きまとってる女だ。



なんにも偉槻のことわかってない。



…そのくせにわかったような口を利かれると、あたしムカつくんですけど。



< 263 / 366 >

この作品をシェア

pagetop